e-maidの抹茶ソフトクリーム

 メイドたちの庭に集うオタク達が、今日も天使のような無垢な笑顔で、ハードル高い門をくぐり抜けていく。汚れを知らないメイドを包むのは、クラシカルな制服。御屋敷の秩序は乱さないように、ゆっくりと過ごすのがここでの嗜み。ここは大阪・難波、メイドカフェe-maid(マリみてリスペクト)

 南海本線なんば駅の最南端改札から徒歩1分ほどのe-maidは、メイドカフェである。名前が示すとおり、イーメイドは「喫茶店」だ。喫茶店の使い方は人によるだろう。サラリーマンが昼休みに食事に立ち寄る、営業が仕事の合間に珈琲を飲みに座る、作家や漫画家が編集から逃げて密かに仕事を片付ける。色々な関わり方がある。

 ライター/記者であり、大学院生(研究者)である僕の場合は、読書や取材のため、人に会う場所として使うことが多い。だから、御帰宅するのは平日の昼間になる。一方、仕事を終えて、夕食のために立ち寄る会社員も多いし、週末の楽しい巡回経路として御帰宅する「オタク回遊魚」のような旦那様お嬢様も多くいる。

 皆それぞれの関わり方があるのだが、共通しているのは「癒し」を求めている点だろう。やりたいこと、やっておきたいこと、やらなくてはならないことが、ほどけない三つ編みのように絡む毎日の中で、日常から少し離れて、ほっと一息をつきたい。そう思うから、御帰宅するのだ。

 癒しをもとめて御帰宅すればメイドさんが笑顔でお給仕し、時間に余裕があれば話しかけてくれる。他愛もない会話も多い。趣味の話、たとえば好きなアイドルやドラマ、映画、アニメの話。そんな他愛もない会話が、旦那様お嬢様の「癒し」を作ってくれる。ほのかに甘い、その会話の味わいが、少しだけ抹茶ソフトクリームに似ている。

 実は、e-maidのメニューには「抹茶ソフトクリーム」が二つある。産地の違うものが用意されている。抹茶はそのまま舐めると苦い。しかし、その苦みが、甘いソフトクリームと混ざるときに、あの色合いと味わいに変化する。

 日々の営みと仕事はつらいこと、嫌なことも多い。しかし、多少の苦みがあるからこそ、抹茶ソフトクリームはおいしい。言うまでもなく、嫌なことがなくても、抹茶ソフトクリームはおいしい。あくまで例えである。とはいえ、甘いばかりが人生ではない。否応なく苦みを受け入れざるを得ないこともある。抹茶の産地に違いがあるように、人生の苦みも人それぞれなのだ。

 ただそんなときに、御屋敷に御帰宅して抹茶ソフトクリームを頼む。ついでにホットコーヒーも注文する。メイドさんが笑顔で来て、お給仕し、次の仕事へと手をうつす。その可憐な所作に白いエプロン、黒い制服スカートがくるりと翻り、まとめた髪が少しだけ揺れる。

 ほお張るソフトクリーム。抹茶の苦みが甘いクリームに溶けている。冷たさに当てられたら温かいコーヒーが、ほどよい安心感をもたらしてくれる。一息ついたし、また明日もがんばろうかな。e-maidの抹茶ソフトクリームの味がする。

※チェキ写真は、初メイドカフェの同僚女性ふたりとe-maidのさりー先生。二人とも「癒されたし楽しかったです!」と大満足でした。

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